入院の日々 その2
後味の悪かった見舞いの翌日から食事が始まった。
五分粥に脂分のない野菜と魚中心のメニュー。
それでも、ひさしぶりに「食べる」のは楽しい。
点滴の量もへり、半日ほどは点滴を引きずらず院内を歩ける。
簡単な処置を看護師にたのまなければいけないけど、毎日シャワーも浴びれる。
こうなってくると入院生活も快適だ。
人の悪い僕は、朝早起きして暑い中、通勤するサラリーマンを空調のきいた病院の窓から見下ろすのが好きなのだ。
いつもはあの人の中に自分がいるのに、それを客観的にみるのがなんとなく楽しい。
夏休みなので、ほぼ毎日子どもが着替えの交換に来てくれる。
素直にうれしい。こういうときは、みぃさんとの関係に後ろめたさをすごく感じる。
相変わらず妻は忙しいのかほとんどこないが・・・・
子どもにもいろんな都合があるようである。
これないときは朝いちばんにラインで「今日いけない。無理」と・・・
退院予定4日前がそんな状況だった。
昼前にみぃさんにひとことメールをいれた。
「さみしい。」
このあいだの気まずさと気持ちもあやふや、後ろめたかったけど、さみしかったのだ。
すぐに返信がきた。
みぃ「今日はいつでもいけるよー。何時ごろがいい?」
マイ「無理しんとしてや。家族おるんやろ。」
みぃ「大丈夫。実家に用があるって抜け出せるし。」
マイ「そしたら、夜8時半ごろかな。8時には看護師が検温と血圧を測りに来たあとは消灯までたぶん誰も来ないし、何もないはずたから。」
みぃ「わかった。ついたらメール入れるね。」
このあいだのことは気にしてないみたいだ。
昼のあいだに前回の失敗がないように会う場所をさがすため院内を見て回る。
結果、来院者用の大駐車場に併設されているタクシー乗り場の奥にベンチがあり、大通りやタクシー待ちの客から死角になることがわかった。
今日はここでゆっくり話をしようと決めた。
そして7月も終わろうとしていた。
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