いちゃいちゃ・・・拒否【お見舞い!!の続き】
翌日、約束の時間より少し早く病棟を抜け出して、院内コンビニへ。
点滴を引きずって院内を移動すると、とかく目立つ。
まあ、タバコで抜け出すのものと周りは見ているはずけど、内心はドキドキしている。
目的地に着く前にメールが。
みぃ「もう、ついちゃた。今、玄関にいるよ。マイちゃん、どこ?」
マイ「玄関に向かう。待ってて。」
みぃ「うん。」
玄関についてもみあたらない。警備員に会釈しながら、院外にも行ったがいない。
スマホ片手に玄関をくぐると、ちょうど中からは影になる死角にこっそり立っていた。
マイ「やあ。」
みぃ「会いたかったよう!ずっと点滴してるの?寝てなくて大丈夫なの?」
いえいえ、あなたが呼び出しんですよ。と、つっこんでやりたかったんだけど、言わなかった。
マイ「うん。ここじゃ目立つから、奥の救急外来の待合いに。受付でも急患と言えは名前かかなくていいし、人も少ないはず。急患と入院患者が雑談しているように見えるし。」
みぃ「さすが!中学のときも賢かったもんね。」
中学のときって、いつのことだよ。と、また、つっこみたかったけど、言わなかった。
そういえば、彼女は心を許している人の前では天然だった。
待合いのソファーに少し離れて座った。
みい「なんか食べられるの?飲み物は?」
マイ「絶食。お茶と水だけ。」
みぃ「おなかすかない?ちょっとやせた?」
みぃ「ほんとに大丈夫?」
それにしても、今日のみぃさんはテンションが高く、声もいつもより大きく感じる。
みぃ「いつまで入院するの?」
マイ「まだ、わからない。」
みぃ「痛くない?」
マイ「今は大丈夫。」
みぃさんがゆっくり近づいてきた。
点滴をしている右手にみぃさんの左手の指先が触れた。
まわりは急患と看護師が忙しそうに動きまわっている。診察待ちの人も5~6人いる。
今日はいつもより人の出入りが激しい。
指先が触れている手をゆっくり離した。
みぃさんは何事もなかったように話し続けているが、僕には周りの人の視線がすべてがこっちに向いてるように感じている。
声はほとんど耳に入らず、周りの視線が気になる。
みぃ「ねぇ。ほんとに大丈夫?」
マイ「あ。うん。ほんとに大丈夫だから。心配しないで。」
また、みぃさんの右手が触れてた。ゆっくり、身体を左へ動かして離れる。どうしても周囲の目が気になるのだ。
ちらっと、みぃさん横顔を見てみた。
状況を察したのか今度はひとつも動かず、寂しそうだった。
みぃ「そろそろ、帰るね。会えてうれしかったよ。もう、来たらダメだよね?」
下を向きながら小声で言った。
たぶん、手をぎゅっと握って、話がしたかったのだと思う。
せっかく、会いに来てくれたのに、話もろくに聞かず、周囲を気にしてばかり。
知り合いや看護師とかに僕らの関係をさとられたら、すべて終わってしまうかも。
そんな考えが頭のほとんどを占めていた。
マイ「そんなことないよ。今日は人が多すぎる。間が悪かったよ。ごめん。まだ1週間は出れないはずだから、また、余裕があったら会いに来てよ。メールも必ずするから。」
みぃ「ほんとっ。迷惑じゃないのね?また、来てもいいのね?絶対メールしてね!」
いつもの笑顔をしてくれた。
玄関の外まで送っていった。別れ際、キスしそうなみぃさんにほだされて、顔をつかずけようとしたら、園児ぐらいの子どもをかかえた母親が小走り気味に横を通り抜け、一瞬目が合ってしまった。
どうも、今日は間が悪い。
マイ「じゃあ、おやすみ。」
みぃさんを見送らず、点滴を引きずり、火のついていないタバコを加えていつもの場所へ向かった。
ふう~
タバコに火をつけて彼女のことを考えた。
一度だけでこんなに変わるのだろうか?
病人を前にして母性本能がくすぐられたのだろうか?
昔の思い出や現状に陶酔しているだろうか?
ご主人や家庭のことから逃避しているだけじゃないのだろうか?
僕のことを愛してしまったのだろうか?
わからない。
また、僕はみぃさんのことをどう思っているのか?
ただのセフレ?
心身ともに弱っている現状からの逃避?
彼女への同情?
忘れたつもりになっていた彼女への未練?
大人になった彼女への新しい恋愛感情?
わからない。
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